コーヒーを評価する上で1番重要なのは、
『消費者(お客様)が普段コーヒーを飲む環境』=『評価者がコーヒーを飲む環境』
となるように設定することです。
しかしながら、コーヒー業界で一般的に普及しているSCA基準のカッピング方法は、
『消費者(お客様)が普段コーヒーを飲む環境』≠『評価者がコーヒーを飲む環境』
となってしまっています。
SCAのホームぺージ(https://sca.coffee/research/protocols-best-practices)
に記載されているカッピング方法の中で特に問題点と言えるのは、
①評価するコーヒー豆が焙煎してから8時間以上24時間未満であること
②ドライ・クラスト・ブレイクという評価手順
③コーヒーを吸引する行為
の3点です。
【問題点①】
評価するコーヒー豆が焙煎してから8時間以上24時間未満であること
消費者が焙煎後24時間以内のコーヒーを飲む機会はほぼありません。
焙煎後味はどんどん変化していくので、消費者が飲むであろう焙煎後1~2週間の時点での味の評価をするべきであり、その時点での味が良いコーヒーが評価されるべきです。
【問題点②】
ドライ・クラスト・ブレイクという評価手順
消費者がカッピングボウルを使って、ドライ・クラスト・ブレイクという手順でコーヒーを味わうでしょうか?
その国や地域で普及しているコーヒー器具(日本の場合はコーヒーメーカーやハリオ、3つ穴カリタなど)で淹れたコーヒーをカップで味わい評価するべきです。
【問題点③】
コーヒーを吸引する行為
音を立ててコーヒーを吸引すると味や香りをより感じることができるという認識が広まっていますが、私が調べた限り根拠のあるデータは存在しませんでした。おそらくプラシーボ効果でしょう。
そもそも消費者は音を立ててコーヒーを吸引することはないので、評価するときは音を立てずにゆっくり口に含むべきです。
以上のようにSCA基準のカッピング方法では、消費者と評価者間に環境差異があるため、
『消費者の評価 ≠ 評価者の評価』になる確率が高くなってしまいます。
コーヒー豆焙煎業者は、SCA基準のカッピング方法をそのまま使用し評価するのではなく、
消費者の特性(ハリオを使っている人が多い場合はハリオで淹れたコーヒーを評価に使用するなど)に合わせて、柔軟にかつ論理的に評価方法を変化させ、独自の評価を行うべきだと考えます。