ブラインドコーヒー|BLIND COFFEE

 


私たちは、コーヒーという飲み物に「絶対的な正解の味」があるとは考えていません。
なぜなら、国や地域の食文化が異なれば、求められる味も変わり、
一方で人それぞれの記憶や生活リズムが、その人の「おいしい」をつくり出しているからです。

ある人にとっては、爽やかな酸味が目を覚ますように心地よく、
また別の人にとっては、深く落ち着いた苦味こそが安らぎを与えてくれる。
それは点数で測れるものではなく、むしろ無数の「正解」があるのだと思います。



ロースターの役割は「正解を決めること」ではない

では私たちロースターの役割は何か。
それは、自分の感覚だけで焙煎を決めることではなく、
お客様一人ひとりの嗜好を丁寧に知り、そこに向けて豆を調整(アジャスト)していくことだと考えています。

だからこそ、私たちはアンケートや統計調査を取り入れ、
お客様の声をできる限り客観的に捉えようとしています。
感覚や経験だけに頼るのではなく、「慧眼|KEIGAN」という名の通り、データを通しても本質を見抜こうと試みているのです。



ブラインドコーヒーという体験

「ブラインドコーヒー」は、その哲学を体験していただくための小さな実験です。

同じ産地、同じロットの豆を、焙煎プロファイルだけ変えて2種類ご用意しました。
抽出条件を揃え、先入観を持たずに「♦︎」と「♢」を飲み比べていただきます。

どちらがより美味しいと感じるか。
酸味や甘み、香りや余韻をどう受け取るか。
そして、他の人がどう感じているか。

ほぼ同じ条件下で「自分と他人の違い」を比較できる機会は、実はとても貴重です。
この体験を通して、コーヒーという飲み物の奥深さや、味覚の多様性を楽しんでいただければ嬉しく思います。